「サスティナブルなアパレル企業」の秘密
環境にやさしい、人権に配慮した企業であることをアピールしイメージアップにつなげようとする企業は少なくありません。特にアパレル業界ではこうした動きがここ数年で大変活発になりました。これに対し、企業側の謳い文句をすべて真に受けるだけではなく、消費者にアピールするためだけの環境や人権配慮アピールがサステナビリティに反している実際の事業の免罪符にならないようするべきという消費者側の意識も必要です。
「コスパの良い」が重要視される社会で…
アパレル企業とは一般的に消費者の購買欲を刺激し製品を購入させることでビジネスが成り立っていることはすでにご存知でしょう。
国内でもトレンドの商品を紹介するYouTube、SNSの投稿は10‐30代を中心に非常に人気を博しており、それらの投稿が消費者の購買につながったケースは少なくありません。人気の投稿者にPRを依頼する企業は少なくなく、特に10代でも気軽に購入できる価格帯のメーカーの人気は国内でも右肩上がりです。
しかし、ほとんどの安価な衣類は途上国で生産されており、低賃金問題、労働者の健康に問題を与えている場合がほとんどです。あるアパレルメーカーが持続可能な社会のために全力を尽くすとなると、利益を出すことは難しく経営を持続することは簡単ではないでしょう。
「コスパの良い商品」という言葉を聞いて何をイメージしますか?
製品の価値より価格が低く、長期的に使えるものでしょうか?
人によってどのようなものに価値があるかはそれぞれです。しかし、その製品にどれだけの時間(デザインの考案、発注までの準備、生産や発送など)と犠牲(労働問題、環境への負担)があったのでしょうか?
その商品を手に取るだけの消費者にとって、商品のストーリーは見えにくいものです。特に大量生産、異常なほど安価な商品を販売する企業にとって都合の悪いストーリーを見られるのは好ましいことではないですよね。
また、闇雲にサステナビリティをアピールしている企業の製品だけを購入するのも一概に良いとは言い切れません。
国内で人気の大型アパレル企業のWebサイトでSDGsに関して紹介しているページをぜひご覧ください。世界をより良い方向へ動かそうなどというフレーズが大きくアピールされていても、実際にどういった事業をしているのか、問題をどのように解決するのかなどと記載されたページは読み進めても紹介されておらず、具体的な解決策や活動を確認することはできません。
残念ながら、このような企業は国内にも少なくはありません、安くて品質の良い、コスパの良い商品には消費者の手に届くまでの過程で企業側が公にしたくはないことがあるのかもしれません。