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By Sayaka Ishida

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食品の二酸化炭素排出量を削減

食品は「どこから」よりも「何を選ぶか」

 フィリピン産のバナナを買うとき、またはアボカドにメキシコ産と記載されるのを見て驚くことはありませんか?身近な食物であっても、実は地球の裏側で生産され、日本まで輸送されていることは稀ではありません。それに気付いたとき、懸念されるのは輸送される過程での地球環境への影響です。食べ物が遠い国から輸出・輸入されることで、二酸化炭素排出量が増え、地球温暖化を促していることにはならないのでしょうか?

 サステナビリティや地球環境に関心がある人ならば、食べ物のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を気にしていると思います。確かに、世界の温室効果ガス排出量の4分の1は食品生産によるものです。私たちの食事と食べ物の選択が、地球環境に大きな影響を与えるという認識が高まっているのは当たり前とも言えます。「地元消費」というのは、国連も含む多くの信頼できる情報源からも推奨されている事項です。直感的には理にかなっていますが、実は誤解を招く可能性があるアドバイスでもあります。

 理由は、カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)は、「どこのものか」よりも「何を選ぶか」の方が環境に与える影響は大きいからです。「地産地消」は、食事の二酸化炭素排出量を減らすための一般的な推奨事項とされていますが、輸送は温室効果ガス排出量のわずかな割合しか占めておらず、それがどこから来たのかは私たち消費者の食品選択に比べて、あまり重要ではありません。

 二酸化炭素排出が輸送の影響でないのであれば、どのプロセスにおいて排出されるのでしょうか?Our Word in Dataのデータによると、二酸化炭素排出量はほとんどの食品において「土地利用の変化」と「農業」プロセスに起因するそうです。この二つの排出量を合わせると、大半の食品のフットプリントの80%以上を占めています。グリーンガス排出量は食品により大きな違いがあり、1 kgの牛肉の生産により60 kgの温室効果ガス(CO2相当)が排出されます。それに比べ、豆は1 kgあたりわずか1 kgの排出に留まります。

 全体的に見て、動物性の食品は、植物性の食品よりも二酸化炭素排出量が高いことが分かります。ラム肉とチーズはどちらも、1 kgあたり20 kg以上のCO2に相当する量を放出します。鶏肉や豚肉は少ない方ですが、それでもほとんどの植物性食品よりも高く、それぞれ6kg〜7kgのCO2を排出しています。

 食事の二酸化炭素排出量を減らしたいと考えるのであれば、確かに、その地域でできた食物を消費することで排出量をわずかですが減少させることはできます。特に空輸食品は避けるべきです。空輸される食品は全体輸送距離の0.16%しか占めないですが、船輸送の50倍のCO2を排出します。そして、それよりもさらに大きな違いを得るためには、私たちの「食品選択」に焦点を当てることです。肉や乳製品の摂取量を減らすか、牛肉から鶏肉、豚肉、または植物性の代替品に切り替えることで、フットプリントが大幅に削減されます。

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Sayaka Ishida
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