今日、オンラインショッピングの普及により外出を要することなくモノや食事が個人のもとへ届くことが急速に一般化しました。その一方で、ドライバー不足などの問題が発生し、物流の現場が疲弊しているのも事実です。
物流を立て直す上で、今考えるべきこととはいったい何なのでしょうか?

崩れる需要と供給の均衡
私たちが日常を送る中では、潤滑に回っているように思える社会的メカニズム、これはサプライチェーンなしでは機能しません。サプライチェーンは縁の下の力持ちのようなもので、普段は裏方にっ徹して私たちの生活と経済を支えているのです。
しかし、昨今、思いがけない日用品が店頭から消えたことは、皆様の記憶にも新しいはずです。また、地震、台風などの災害が多い日本では、パンデミック以前から、前触れのない「物流の危機」がたびたび発生していました。
こうした問題は、「必要なモノ」と「それを満たすモノ」のバランスがうまくコントロールされていないときに表面化します。

楽観を許さない労働者問題
鉄道貨物協会によると、2028年には運送業界で約27.8万人の営業用トラックドライバーが不足すると予測されています。17年末時点、需要量109万人に対し、供給量は99万人にとどまり、足元の状況としてすでに約10万人不足しています。
ドローンの配送や自動運転など、最新技術を使った新たな試みが話題になっています。ドライバーの業務を効率化し負担を軽減できれば、イメージアップにつながり、人手不足の解消も見込まれるでしょう。しかし、運送業が完全自動化されることはあるのでしょうか。
技術的には可能なようですが、すべての輸送形態が自動化されるのは当分難しいと予測されています。だからこそ技術の進歩に頼るだけでなく、アクションが必要なわけです。

消費される資源│消費者としての責任
製品を購入し消費し、有限な資源を過度に浪費することは環境破壊につながります。また、今後、日本の労働力は下伸びする一方です。
便利で安いものをどんどん買って、便利な生活を追求するのではなく、自然環境とこの社会をどう維持していくのか。SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連が合意した世界的に取り組むべき社会目標です。
物流危機脱却を目指すために
届けるというのは、物流の一つの歯車でしかありません。心臓部となるのは、モノや労働者、インフラを長く、事故なく使うためのサポート体制です。
資源、労働力の枯渇に伴いこの危機が深まる現代において必要とされる能力とは、社会を俯瞰し、様々な情報を取りながら問題を発見し、それについて論理的に考え、実現するために柔軟に努力することができる人でしょう。